令和元年初ボヤキ

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ボヤキ・4

 「令和元年初ボヤキ

最近我が国の動物園に関するクレームが外国人観光客から発されているようです。
動物園と言っても実はこの言葉は文部科学省管轄の博物館法の中で定められている生物を展示する博物館という意味にもとらえられるのです。
同法の中では動物園、水族館、及び植物園がそのような施設であると定められています。
しかし、一方で俗にいう動物園とは一般的には民衆のために様々な生き物を展示する娯楽施設、と考えられています。
動物園業界では全国には動物園は数百しかない、と言っていますが環境省の管轄する動物の愛護と管理に関する法律の下で展示業として登録をしている動物取扱業者は何と3000を上回るのです!
さてさて、このギャップはどのように捉えるべきなのでしょうか?
動物園に対するクレームを日本動物園水族館協会に伝えたところで果たして事態は改善するのでしょうか?
業界の内部指導があるとしてもそれは動物を展示しているすべての施設の十分の一にしか届かないのではないでしょうか?
しかし、問題はそれだけではありません。
日本の動物園業界全体が国際的な動物園業界の動きに乗り切れていないという課題も実は存在するのです。
今月(令和元年8月)はスイスのジュネーブでCITES(通称ワシントン条約)の国際会議が開催されています。
この会議は3年ごとに開催され、絶滅危惧種などの扱いを見直し新たな取り決めをする重要な場でもあります。
何か月か前に国連の生物多様性に関する報告書が公表され、現在動植物約100万種が絶滅の危機にさらされていることが明らかにされました。
各国の政府が十分な対応をとれていない、ということなのでしょう。
ちなみに、東南アジアの絶滅危惧種であるカワウソたちの捕獲が現地では大きな問題となっていますが、密猟などの犠牲になっている個体の行き先はほぼすべて日本だそうです。
言うまでもなく日本政府もあらゆる意味で十分な対応ができていないのです(情けない。。。)。
今回CITES第18回大会ではゾウに対する画期的な決議が採択されました。
野生のアフリカゾウの商取引が事実上禁止されることになり、動物園やサーカスなどにアフリカゾウが捕獲され買い取られることがなくなったと言ってもよいでしょう。
参加国で賛成46、反対18、棄権19というのが票の内訳です。
ちなみに我が国は?。。。。「反対」です(情けない)。
また、今回の会議ではゾウを守るためのもう一つの重要な課題、象牙の取引が取り上げられました。
確かにザンビアなど少数のアフリカ諸国が象牙の取引が可能になるような規制の緩和を求めることはありましたが、アフリカ諸国の多く(約10か国)は象牙取引の弊害からゾウを完全に守る体制を求めていました。
米国、中国、シンガポール等すでに象牙の商取引を終結させると宣言している国もある中、日本は世界最大の象牙市場を有する国として注目を浴びています。
日本の業界団体の長はこのような状況に対して、アフリカ諸国でゾウと共存している民は日本などの消費国の需要がなくなったら困るに違いない、と発言したそうです!(情けない)。
また象牙にまつわる産業にかかわる人々も働き口がなくなってしまい大変なことになる、と彼はさらに続けています(益々情けない。。)。
そんなCITESの会議状況を嘆いている矢先に今度は日経新聞の夕刊の一面にとんでもない記事を見つけてしまいました!!
予算もなく、敷地や建物も「しょぼい」水族館が職員たちの奇抜なアイデアで集客に成功している、という記事でした(一面だよっ!なんでやんねん??)
その水族館ではセイウチのお散歩タイムとやらを定期開催しているのです。
お散歩中は来園者と接近遭遇し、体を触らせるのです。
慣れている個体なので人を襲うことなどない、と職員は言い切っています(本当か??)。
そのセイウチにお願いすればなんと「ビンタ」をしてもらえるという信じられない内容を紙面で目にしてしまいました!
ビンタをお願いした男性がおしりをたたかれ1メートルほど飛ばされた。。。。。と面白おかしく書いてありました(マジかよっ!)。
これ、面白いというよりもあ・ぶ・な・い。
でもそれだけではなくペンギン、アザラシ、トドまで出てくるそうです。
極めつけはタツノオトシゴの尾と「握手」という企画。。。うちのペキニーズ尻尾握ったら咬みまっせ!
いったい何を考えているのでしょう、「水族館運営と水生生物の専門家」である職員たちは。。。?
紙面に書いてある生き物たちを囲いから出した理由とは、敷地が狭いために展示する空間が確保できにくかったから、ということでした。
だったらやめたら?4畳半のアパートで70キロのセントバーナード飼うおバカな飼い主と同じ?勘弁してよ~。

動物園は自然科学の展示である博物館です。
ゲームセンターでも遊園地でもありません。
しかし日本の動物園や水族館は今やエンターテイメント性を重視するあまり動物たちの立場になって物を考えることをしない施設に成り下がってしまいました。
でも運営者たちはなぜそのようなことをやるのかという問いに「日本人はそのようなことが好きだから」と答えるのです。
皆さんを代弁しているのですよ!皆さん本当にそうですか?
日本ほど一般市民の民度が低い国はないと言われてしまいかねません。
オリンピックが来るなどと喜んでいる場合ではありません。
また上記のようなことは全国紙が一面で面白いこととして報道するべき事柄でもありません。
メディアの動物に対する意識を増々疑ってしまいます。
殺処分0などと言っている団体さんたちにもぜひこちらに目を向けてほしいのです。
犬や猫が可愛い、可愛そうと言っている人たちにどうしてこの囚われの動物たちの現状が理解できないのでしょうか?
情けないとため息をつき続けることに情けなさを感じる今日この頃です。

山﨑 恵子

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